ワシントン DC, 2020年11月24日 — 世界銀行グループの多数国間投資保証機関(MIGA)と日本の政府系輸出信用機関である日本貿易保険(NEXI)は、本邦投資家による発展途上国に対する直接投資への協力強化の協定を交わした。本邦の投資家による途上国への直接投資を支援するためMIGAあるいはNEXIが、投資に対する保証や付保や異なる形の投資をした場合、双方が協調して融資に付保や再保険を請け負う。
この新たな覚書は、2018年の再保険分野におけるMIGAとNEXIの協力協定をさらに発展させ、両機関がマーケティング、デューデリジェンス、協調融資への付保や再保険の引受けなどプロジェクト組成のさまざまな段階での協力を強化する上で双方の専門的な知見の活用を可能にする。協力関係の強化は両機関が単体として直面するリスクを低減し、リスクが高過ぎるとみなされる投資を可能とする。
MIGAの俣野弘長官は、「この合意は、MIGAとNEXIがそれぞれの強みを生かして協力することによって、双方のサービスの裾野を押し広げるものだ。両機関は協力して、本邦の投資家を支援し、なかでも低所得国(IDA国)や脆弱国、紛争の影響下にある国々(FCS)の質の高いプロジェクトへの直接投資の呼び込みに貢献していく」と述べた。
MIGAは引き続き日本政府および日本の政府系金融機関と協力して日本の企業や金融機関による途上国や新興市場への投資を後押しするため、投資に伴う政治的リスクのマネージメントの手法を提供する。現在MIGAが本邦企業に提供する投資保証残高は23億ドル以上で、この金額は各国へのMIGAの投資保証支援額の中で4番目の大きさとなる。
NEXIの黒田篤郎代表取締役社長は、「NEXIとMIGAが長きにわたって蓄積してきたノウハウや経験を共有することによって、本邦企業にとってより重要となってきた新興市場国および途上国への金融面での支援を協調して実施し続けられることを期待している」と述べた。
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NEXIとは
日本貿易保険(NEXI)は、1950年3月31日に施行された貿易保険法に基づき設立された日本の輸出信用機関で、日本政府が全株式を保有する株式会社として2017年4月1日に誕生した。NEXIは保険事業を行い、通常の保険によって救済することができない日本企業の国際取引におけるリスクを保証する。ウェブサイトは nexi.go.jp
MIGAとは
多数国間投資保証機関(MIGA)は、新興市場国への海外直接投資(FDI)を推進する目的で1988年に世界銀行グループの一員として設立された。通貨の交換や送金の制限、政府による契約不履行、収用、または戦争、内乱といったリスクを軽減、民間の投資家や貸し手に信用補完を提供している。MIGAは設立以来、118の開発途上国で590億ドルを超える信用保証を提供してきた。
2020年4月にMIGAは、低所得国・中所得国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行への対応に取り組む民間セクターの投資家および金融機関を支援するため、65億ドルのファーストトラック・ファシリティを立ち上げた。本ファシリティによりMIGAの引受機能を至急必要な医療機器の購入に振り向けるとともに、中小企業をはじめとする企業や個人事業主の運転資金を提供し、各国政府の短期の資金調達需要を支える。同ファシリティは信用補完、リスク緩和措置、トレードファイナンスへのサポートを通じてコロナ禍における様々な困難に対処することを目指しており、迅速で簡素化された保証の提供が可能である。
世界銀行グループは発展途上国にとって重要なノウハウと資金の供給源である。途上国の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)への対応強化のため、公衆衛生上の取り組みを支援し、重要な物資や機器を確保し、民間セクターの経済活動継続と雇用維持を助ける幅広く矢継ぎ早の施策を実施している。
世界銀行グループは、2021年6月までの15か月間に最大1600億ドルを提供する。これにより100カ国以上の貧困層と脆弱層の保護、企業の支援、景気の回復を下支えする。この中には、グラント(無償資金)または譲許的融資として国際開発協会(IDA)の新規資金500億ドルや開発途上国の新型コロナワクチン購入や配布に向けた120億ドルも含まれる。
連絡先
ワシントンDC: Vamsee Krishna Kanchi, (202) 458-9771, vkanchi@worldbank.org
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